ロジカルシンキング(論理的思考)の大きな目的の一つが「伝える」ということ。
この伝えを論理的に考えるためのツールが「ピラミッドストラクチャー」です。前回の記事「伝えの最強ツール「ピラミッドストラクチャー」を学ぶ」で概要をお伝えしました。
しかし、ツールを使いこなすにはちょっとしたコツをつかむ必要があります。要は伝えがスッと相手の心に入ってくる。そんな伝えをするコツを学びましょう。
そのキーワードが「MECE感」と「ダイレクト感」です。今回は相手の心にスッと染み入る枠組みMECE感とダイレクト感についてご説明します。
ピラミッドストラクチャーのメインメッセージを支えるのがキーメッセージ。その複数のキーメッセージで作られる構造が枠組みです。そして枠組みは「MECE感」と「ダイレクト感」が両立しているものが良い。
・早くて安くてうまいから吉野家はサイコー!
・疑惑はあるけど、真実ではない!
など。このシンプル&躍動感を感じる伝えのセンスを身につけましょう!
目次
MECE感&ダイレクト感な最高のヒトコト
相手に何かを伝える時の最高のメッセージは、
・全体をモレなくダブりなく押さえている感覚(MECE感)
・話の全体像がすぐ理解できる感覚(ダイレクト感)
の両方を同時に相手に与える。それも自然に感覚として与える必要があります。
この感覚を得られる枠組みを作るためには、最高にシンプルなヒトコトを考えるのがコツです。相手に伝えるメッセージを考えていくと次第にイイタイコトが膨らんできます。あれも伝えたい。これも伝えたい。
そんなイイタイコトであふれた気持ちをいったん抑えて、メッセージから余分な修飾語や重要でない事を取り除いていきましょう。そうして最後の最後に残るヒトコトは何かに意識を集中するのです!
相手が求める問い(イシュー)に対して本当にイイタイコトは何か? ヒトコトで答えられるように、最後に残る枠組みだけで伝えると何が言えるのかを考えるのです。
例えば・・・
といった感じで、最も言いたいヒトコトを抽出する作業をします。この最高のヒトコトとなる枠組みとして「MECE感」と「ダイレクト感」のあるものを探します。この最高のヒトコトを探す作業こそ「考える」ということです。
ポイント3つのワナ。MECE感を忘れない
最高のヒトコトで気をつける必要があるのが、就職や転職の面接テクニックにある「ポイントは3つ」です。最高のヒトコトとは思いついた重要そうな3つを言うことではありません。ポイントは3つと言い切るなら、3つで構成する枠組みでMECE感を出して語る必要があります。ランキング3位までの発表とは全く違うのです。
一方で「ポイントが3つ」の響きはダイレクト感があります。そのため良く考えているなぁとダマされる人も大勢いるでしょう。しかし論理的思考力がある人から見ると、それって思いつき3つだよね、というのが丸分かりになってしまうのです。
しかし大抵は違う視点の4つ目のポイントが見つかり、どう考えるのか質問すると「そういうポイントもあります・・・」といった受け答えになることが多いです。見抜かれているので気をつけましょう!
フレームワークを使い、お手軽にMECE感&ダイレクト感を得る
ビジネスの現場でMECE感とダイレクト感を出すには、ビジネスフレームワークを使うのも一つの手です。有名なものとして3C(市場・競合・自社)というフレームワークがあります。この枠組みは必ずしもMECEなのかは疑問です。しかしマネジメント・経営者層の誰もが知っている分析の枠組みであるため説得力を持ってMECE感とダイレクト感が両立した枠組みとして伝わります。
一般的な問いにも対応できる枠組みの例についてに「MECE感 x ダイレクト感な枠組みの例」で記事を書いてます。そちらも参考にしてください。
メインメッセージ≠最高のヒトコト
最終的なメインメッセージは「最高のヒトコト」と必ずしもイコールではありません。メインメッセージは具体的に語る必要があります。最高のヒトコトを探して行くと、どうしても抽象度が高くなります。あまりにも抽象度が高いメッセージは、響きは良いけどそれで何なのと感じることもあります。哲学者になりたければそれでも良いかもしれません。でも一般的な社会人の目指す伝えの姿ではありません。
そのためMECE感とダイレクト感の枠組みを維持しつつ、具体的な内容でメッセージを肉付けする必要があります。一体何を言いたいのか情報・キーメッセージを「解釈する」必要があるのです。
ピラミッドストラクチャーのもう一つのコツ。それが「解釈する」です。考えるとは「解釈する」ことでもあります。そして解釈することでメインメッセージをより質の高いものへと作り変えることができます。この「解釈する」については別の機会にお伝えします。
まとめ
今回はピラミッドストラクチャーのメインメッセージを支える枠組み「MECE感」と「ダイレクト感」について説明しました。
論理的に考えるとは「論理の枠組みを考える」ことです。
論理の枠組みとはMECE感とダイレクト感を両立した構造のこと。
最終的なシンプルな言葉を得るためには、枠組みを導くセンスやヒラメキも重要です。ぜひ練習してみてください。
例えば、次の問いに答える枠組みは、どんなものがあるでしょうか?
明日の飲み会に参加する?