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ビジネスフレームワークを活用する

ビジネスフレームワークを知っていますか?

有名なものでは3C分析、バリューチェーン、ファイブ・フォース分析などがあります。聞いたことはあるかもしれませんね。これらは経営環境を分析するための「枠組み」として考え出されたものです。

経営環境を分析する際に「どのような枠組みで分析するのか」を教えてくれる便利なフレームワーク。有名なコンサルタントや学者が考え抜いたものですので、ぜひ彼らの作った「枠組み」に当てはめて考えて見ましょう!

メインストーリー

フレームワークに当てはめてみる

資料の束を眺めながらアイコは何やら唸っていた。いつもうるさいアイコが黙っているので、こんな日は静かで良いなと思いながら、隣でケンタは本を読んでいたが・・

もうムリ。もうヤメー。あいつバカじゃないの。こんな大量の資料渡しておいて明日までってしれーっとした顔でいう神経が分からない。どういうこと。残業規制に引っかかるでしょ。無理に決まってるでしょ。バカじゃないの。
どうしたの?

ケンタせんぱーい、この資料みてくださいよぉ。これ、今うちの部で扱おうとしている新製品の市場調査資料なんです。これを明日までにA4一枚にまとめとけって渡されたんです。抜粋した分だけですけど、それでも30ページもあるんですよ。読むだけで疲れますよ。見てください、この束。
なかなかハードだね。明日までなんだ。

そうなんです・・、あっ、アタシわかっちゃいました。全部縮小コピーでA4に貼れば解決です。さっすがアイコ! そっか16 in 1の両面印刷がありましたね。ケンタ先輩、楽勝っす!
そりゃ、流石に無理あるだろ(笑)ほれ、資料、貸してみ。時間あるから一緒に考えてやるよ。

おおっ、ケンタ先輩。恩に着ます。
どれどれ。あっ、クラフトビールなんだ。アメリカの市場と日本のクラフトビール市場がかいてあるのかな。

ケンタは一読した後、もう一度メモを取りながら資料を読み返した。

よし、アイコ。こんな感じかな。こういうのはフレームワークを使ってまとめると抜け漏れがなく検討が出来ていいんだよ。市場環境分析だよね。まずは定番の3Cとかが良いかなぁ。

3Cってなんですか?
Customer,Competitor,Companyの3つのC。顧客、競合、自社という枠組みで分析するフレームワーク。ケンタ今回の資料は自社は出てこないんじゃないのか?

横で聞いていたマサトが鋭いツッコミをした。いつも口数は少ないが核心を付いてくる。

あれ、そうでした。じゃあ違うフレームワークの方が良いかなぁ。ファイブ・フォース分析でやってみます。
しばらく資料を見ながら格闘した後、ケンタは資料にまとめ始めた。

うーーん。なんとか出来た。まあ細かいところは良いか、とりあえず、こんな感じでどうよ、アイコ。

おー。それっぽい。プロっぽい。天才ですね。

ファイブ・フォース分析は5つの競争要因を分析する手法なんだ。売り手、買い手、競争業者、新規参入、代替品、の5つ。今回売り手と代替品について情報がないから書けなかったけど・・
既存のフレームワークを使うと漏れなく検討できるってメリットはある。

そうなんです。今回の資料だとクラフトビールの原料についての情報がほとんどなくって、この辺りの情報を集めるともっと良くなるんじゃないかな。
なるほどー。明日、原材料の情報が不足しているって伝えます!

今回フレームワーク使ってあらためて思ったんですけど、ビジネスフレームワークは色々あるからどれを使うか悩むんですよね。SWOT分析やPESTとかコンサルが色々出してるんですよね。
なんだか奥が深そうですね。

市場調査の資料を読んでいたマサトが、資料とケンタの分析結果とを交互に見比べてから、ため息をついた。

この分析じゃダメだよ

解説

代表的なビジネスフレームワーク

今回のストーリーの中にも、いくつかフレームワークが出てきました。それ以外にもたくさんあります。ここでは代表的なフレームワークを紹介します。

  1. 3C:「市場」「競合」「自社」
  2. 4P:「製品」「価格」「流通」「広告」
  3. 5F:「売り手」「買い手」「新規参入」「代替品」「業界内」
  4. SWOT:「強み」「弱み」「機会」「脅威」
  5. バリューチェーン:「調達」「製造」「出荷」「販売」「サービス」
  6. PEST:「政治」「経済」「社会」「技術」

3Cと5F(ファイブ・フォース)はストーリーの中でケンタくんが利用したものです。

3Cは市場(お客)は何を求めているのか、競合はどのような戦略を取っているか、自社はどのような対応できるかを分析する枠組みです。かなり一般的なフレームワークのため、使い勝手は良いと思います。

フレームワークの情報の欠如

今回のストーリーでは、外部の市場調査資料のため自社については考えないという前提でした。そのため自社の情報がなく3Cを使うことを却下しました。

その後ファイブ・フォースで分析したのですが、こちらも売り手や代替品の情報が入手資料では不足しているようです。

MEMO
ここでの売り手とはクラフトビールの原料を提供する側のことです。

代替品は例えばワインやウイスキーなどビール以外のアルコールが考えられます。

今回のケースは、情報が不足していたという点では共通です。既存のビジネスフレームワークで分析すると、このような情報の偏りが多く見られます。欲しい情報全てが手に入るとは限りません。一部は取得が容易ではない競合の情報などもあります。

理屈はシンプルで理解できるのですが、意外とフレームワークを使いこなすことは難しいのです。そのためビジネスフレームワークはなんかわかった気になるんだけど使いにくいという印象を持たれることがあります。

最後に

代表的なビジネスフレームワークについてご紹介しました。使いこなすのは難しいのですが、過去の叡智が詰まったものです。

プレゼンや資料作成でビジネスフレームワークの観点で説明すると抜け漏れなく分析している印象を与え、説得力があるものになります。ぜひ、ビジネスフレームワークで考え、伝えるということにチャレンジしてみましょう!