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【事例】シンプルな伝え|I try and I made it.

アフリカ

何かを伝える時にシンプルに伝えることは重要です。ときにシンプルな表現は、多くの言葉で語るよりもずっと伝わることがあります。

この記事では、そんなシンプルな伝えの事例をご紹介します。

 

その前にシンプルな伝えとは何かを簡単に解説!

このブログでは論理的思考について記事を書いてきました。その中で紹介しているのがこちら。

シンプルな伝えに必要なのは「MECE感」と「ダイレクト感」が両立した枠組みで語ることです。そしてもっとも言いたいことをヒトコトで語ると何が言えるのかを考える。

言い換えると、全体感を押さえつつも直感的にわかりやすい伝えのことです。

  •  疑惑はあるけど、真実ではない
  •  やりたいけど、できない

 

詳細は「ピラミッドストラクチャー作成のコツ MECE感とダイレクト感!」をご覧ください。

さあ、さっそく事例を見て見ましょう!

TED 「ウィリアム・カンカンバの風車について」

 

2007年のTEDの動画です。この動画を見る前に、まずは背景を簡単に説明します。背景を理解していないと、このシンプルな伝えのすごさがわからないと思います。

動画の背景を理解しよう!

マラウイというアフリカの国の青年ウイリアム・カンカンバは、わずか14歳の時に、風車を自作しました。風車と言っても自転車を分解したものです。まずは画像をご覧ください。

 

windmill

出典:ウィキペディア

写真を見るとイメージがわくと思いますが、マラウイの当時の電気普及率は2%程度です。ほぼすべての人が電気のない中で暮らしている状況だったのです。病気を呪いで治す、魔女が存在すると信じているような人が大多数を占めるような状況でした。

そのような環境の中、彼は学費が払えなくなり学校をやめることとなります。しかし英語もほとんど読めない状況の中、図書館に通い独学で勉強を始めました。そして「Using Energy(エネルギー利用)」という図解のある本を手にし、風車による発電と水のくみ上げに興味を持ちます。

そして風車を作りました。

MEMO
Using Energyですが、おそらく小学生・中学生が読むような、科学雑誌ぐらいのレベル感のものではないかと思っています。

風車といっても電球4つとラジオ2つを動かすだけのものです。しかし彼のおかれている環境で風車を作るということが、どれだけすごいことかは感じてもらえるのではないでしょうか。

その後、地元の新聞などに取り上げられ、TEDで2007年に公演しています。今回紹介するTEDの動画はがそれです。彼は当時19歳ですが、それまでインターネットも知らず、Googleの存在にとても驚いたようです。

動画を見よう!

このような背景を理解した上で、次のTEDの動画をご覧ください。最高にシンプルな伝えは、約1分後ぐらいです。

 

どうでしたか?彼の言葉はわかったでしょうか?
司会者が「どうやって風車を作ったのか?」という質問に、答えます。

学校をやめ、図書館に行き、本を読んで風車を学んだ・・・、この後が注目の発言です。

I try, and I made it!

(やってみた、できた!)

彼の言葉、英語の方が雰囲気が伝わるかもしれません。彼は英語があまり得意ではなく(と言ってもしゃべっているのがすごいです)、緊張して言葉が出てこなかったようです。その中で、もっとも伝えたいシンプルなヒトコトが、I try and I made it.です。

この発言で拍手が起こります。

彼が成し遂げたことが、簡単ではないことを誰もが理解しています。だから彼が発したシンプルな言葉「やってみたらできた」という言葉に敬意を評し拍手したのです。

母国語で考えるより、第二外国語で考える方が、言葉が不自由なためシンプルで本質的な発言になることはあります。今回もその例ではあると思います。

もし当時彼がもう少し流暢な英語を話せたら同じ結果になったでしょうか?情報量としては多く、理解しやすい発言をしたかもしれません。しかし、これほどの拍手は得られなかったと思います。

まとめ

この記事では、マラウイの青年による風車の発明についての動画を紹介しました。最高にシンプルでパワフルな発言「I try, and I made it!」をぜひ味わってもらえればと思います。

発言までの背景を含めて理解が必要ですが、「伝え」の応用編としてぜひご覧ください。
今回のマラウイの青年が風車を作りTEDで公演するまでのお話は本になってます。気になる方は読んでみて下さい。