何か新しいことを始めたのはいいけど、なかなか継続できない。
もっと効率的な方法があるのでは?最短距離で目的を達成する別の方法があるのでは?
さまざま方法を模索して、今のやり方を変えて別の方法を試してしまう。
そんなこと、ありますよね?
しかし「継続は力なり」という言葉があるように、継続はすごい力を秘めているのです。しかも、継続している人と継続していない人の差は、ある日突然、とても大きな差になってあらわれます。
継続しない、もしくはできない、ということはそんな怖さがあるのです。
この記事では、継続力について戦略の観点から解説したいと思います。実は戦略においても、継続というのはすごい重要な要素です。
結果との因果関係がわかりにくいため、継続は戦略において軽視されがちですが、戦略家も認める継続の重要性について説明したいと思います。
目次
そもそも戦略とは
「戦略」という言葉は、今では一般用語として使われています。会社では「販売戦略」「人事戦略」「財務戦略」などよく聞くのではないでしょうか。
また、それらの戦略を総合して「経営戦略」と呼ばれ、経営企画室の主要テーマになったり、マッキンゼーを代表とする戦略を専門とするコンサルタントが活躍したりします。
さらに国家レベルになると「国家戦略」と呼ばれるものもあります。
このいろいろと使われる「戦略」という言葉、どういう定義なのか確認しましょう!
特定の目的を達成するため、大局的に捉えた枠組みや方向性のこと
経営戦略・人事戦略・財務戦略など、XX戦略はたくさんありますが、目的の対象が「経営」全般なのか、もうすこし範囲を狭めた「人事・財務」領域を目的の対象とするのか、と「対象が何か」で分類されております。
しかし今回は、戦略の定義前半「戦略の目的」を分類したものではなく、戦略の定義後半「戦略の方向性」の分類を考えます。
戦略の方向性は2つしかない。ひたすらやるか順番にやるか
戦略の方向性の分類と書きましたが、結論からいうとこれは2つしかありません。
「ひたすらやる」のか、「 順番にやる」のかです。
「ひたすらやる」は累積戦略(Cumulative Strategy)と呼ばれ、「順番にやる」は順次戦略(Sequential Strategy)と呼ばれます。
累積戦略は、ひたすらやることを基本的な方向としたものです。日本人になじみのある「継続は力なり」をポリシーとした戦略となります。
これは必ずしも目的達成の効果がどの程度かわからなくても、小さな成果を積み重ねることで、ある日突然大きな効果が生み出されることを狙った戦略です。
一方の順次戦略は、目的をブレークダウンして具体的な施策に落とし込み、やるべきことを順番に行うというものです。
PDCAや見える化ともなじみが良く、近代の戦略のほとんどが順次戦略を指しているといっても過言ではありません。
この2つの戦略を比べると、累積戦略はいつ効果を生むかわからないため、説明が難しいという欠点があります。そこが社会の中で受け入れられにくいものとなっていると考えられます。
まずは戦略の方向性を分けると2つ「累積戦略:ひたすらやる」と「順次戦略:順番にやる」の二つがあることを押さえてください。
次に事例を踏まえて、もう少し詳しく見ていきましょう!
夏までにダイエットで10キロ痩せる!事例で考える戦略
「夏までに10キロ痩せたい」と思ってどうするかを戦略的に考えます。
順次戦略:順番にやる
ダイエットには「消費カロリーを増やす」か「摂取カロリーを減らす」かのどちらかのやり方があります。
次に消費カロリーを増やすには「基礎代謝を増やす」か「運動でカロリー消費」するか「効率よく排出する」があるとしましょう。
一方で摂取カロリーを減らすには、「食べる量を減らす」か「食べるものを変える」がありそうです。
さあ、どれが一番効果があって、効率的にダイエットできるのでしょうか?
食べる量を減らすと、体力が減って基礎代謝に影響があるかも?運動は苦手だし・・
と悩みつつ「どういう順番でやるかを決める」これが順次戦略です。
累積戦略:ひたすらやる
効果があるかわからないけど、毎日の通勤で一駅歩くことにしましょう!
また、夕食のご飯の量を半分にすることもします。
どれが効果あるかわからないけど、できることをひたすらやる。これが累積戦略になります。
これは必ずしも効果がいつ現れるかわからないものです。しかし、何もやらない場合と比べると、やった方がよいことはハッキリとしてそうです。
ダイエットとして本当に効率的かはわかりません。でも今日は目標を達成した、
という積み重ねが、ある日「すごい体重が落ちてる」という効果につながるものです。
ひたすらやることの重要性!積み重ねがブレークスルーをもたらす!
ひたすらやる、というわかりやすい戦略が累積戦略です。
実感はありませんか?
次のような経験をしたことがあるのではないでしょうか?
- 今までクリアが難しいと思っていたゲームが、急に楽勝になった
- 練習を続けた逆上がり、急にできるようになった
- 今まで全然聞き取ることができなかった英会話。突然聞き取れるようになった
- 難しいと思っていた数学の問題を、簡単に解けるようになった
このような、ブレークスルーをもたらす大きな効果のことを、創発と呼んでいます。
もっと効果的なやり方があったかもしれませんが、続けることの力により、今までできなかったことが、突然できるようになる。
ある日大きな効果を生み出す。継続には、そんな結果が待っています。
英語の勉強を1000時間続ければ英会話ができるようになるのか、それとも2000時間必要なのかは、誰にもわかりません。ただ一つ言えるのは、勉強しないよりやった方が確実にゴールに近づくということだけです。
悩むより、やってみる! やり続けることが重要です!
順番にやる必要はないのか?どちらも大事。両方考える!
ダイエットの例で見るとわかるように、順次戦略は総合的な判断を重視し、どれが効果が高いのかを全体像の中から見極め、やり方を決めていくという戦略です。
これは非常に重要。効果的なやり方に資源を集中することは、限られた資源(リソース)を何に費やすかということです。先ほどの例でも、
- ゲームの攻略本を読む ⇒ うまい友達をまねる ⇒ 実践する
- 体力をつける ⇒ 補助をつける ⇒ 逆上がりをする
- 英単語の量を増やす ⇒ リスニング
このような方が効率的かもしれません。
時間やお金は会社だけでなく個人にとっても貴重な資源(リソース)です。なんでもやればよいというわけにはいきません。何に注力して、どんな順番に行うかを考えることは非常に大切です。
まとめ
この記事では「ひたすらやる」という継続的な戦略と、「順番にやる」という詰将棋的な戦略の二つを説明しました。
累積戦略は積み重ねることで効果を発揮するものです。そのため、どれだけ続ければ大きな効果が表れるのか、正確には誰にもわからないのです。
正確にわからないことで、累積戦略は軽視されがちのように思います。(自己啓発書の中には継続力をテーマにしたものはありますが)何か一つをやり続ける、これは地味な戦略かもしれませんが、後々効いてきます。
しかし何をやるのがよいのか、それを見極めるためには順次戦略も重要です。
この二つの戦略を同時に考え・実行していくこと。これが重要だと言われています。
戦略と聞くと企業戦略など会社のことのように考えがちですが、そんなことはありません。ぜひ日常の生活の中に「ひたすらやる」と「順番にやる」の考えをバランスよく取り入れてほしいと思います。
累積戦略と順次戦略についての詳細は下記の本をご覧ください。