リニューアル予定

考えるとは「論理の枠組みを考える」こと

ビジネスフレームワークは非常に使い勝手が良いのですが、必ずしも既存の枠組みで考えることが良いわけではありません。考えました、といって持ってきた内容が、実はありふれたフレームに当てはめるだけの作業をしただけの人が大勢います。それでは不十分なのです。考えているうちにはいりません。

考えるとは「論理の枠組みを考えること」なのです。

メインストーリー

新しい枠組みを考えてみる

前回のストーリー
クラフトビールの市場分析資料を明日までにまとめるように頼まれ苦戦するアイコ。ケンタはそれを手伝いビジネスフレームワークを使い分析を開始。結果的にファイブ・フォースを使って分析をしたのだがマサトにダメ出しをされ・・ビジネスフレームワークを活用する

えっ、どの辺がダメなんですか?
市場分析の資料は、そもそもアメリカ市場についても書いてあるけど、ケンタの分析だと、アメリカと日本市場という比較軸がない。しかも資料はクラフトビール全体の成長率や業界内のプレーヤーの分析が中心だから、ファイブ・フォースでまとめるとバランスが悪すぎる。

うーーん。なんか、高度な話になってきました。
確かに5つの観点で分析してみましたけど、偏ってますよね・・。そうは思ったんですが・・、やっぱり違うフレームワークを使わないとダメですかね?

ケンタが色々とフレームワークを勉強しているのはわかったけど、一度、そこから離れて考えてみたらどうだろう?
離れてですか? 経営企画部ってもっとフレームワークを使いこなしているのかと思いましたが、違うんですか?

いや、もちろんフレームワークも使うけど、必ずしも既存のフレームワークが万能だとは思えないんだよね。まずは、どう言う観点で資料をまとめたら良いか、その枠組みを考えるところから始めてみよう。
どんな感じですかね?

今回の資料は、明らかにアメリカと日本の比較なんだよ。だから軸はアメリカと日本が第一階層。そのあとで、市場と競合をまとめれば良いと思う。

へー。アメリカと日本という枠組みを最初に考えるんですね。なるほど。スッキリします。

わかりやすーい。ファイブなんとかは意味不明だったんですが、これならアタシの頭にもすっと入りますよ。
既存のビジネスフレームワークは便利なんだけど、必ずしも使い勝手が良いわけじゃない。どういう軸で語るのが一番良いか、その「論理の枠組み」を自分の頭で考えることが重要なんだ。

フレームワークを習った時、便利だなって思ってそれを使うことしか考えてませんでした・・。反省です。自分で考えないとダメなんですね。
単純化すると「アメリカと日本におけるクラフトビール市場・競合の比較」についてと言える。どれだけ鋭い切り口で枠組みを作れるかで、人が受け取るメッセージが変わるんだよ。

なるほどー。とりあえず、これで明日は乗り切れそうです。ありがとうございました。また、報告しますねー。師匠、どうですか、すごい良くなりましたよね。
どれどれ、見せてごらん・・

解説

新しい枠組みを考えるコツ

今回のストーリーではマサトくんは新しい枠組みとして「日本」と「アメリカ」という論理構造(=枠組み)で伝えるということを考えたようです。

既存のビジネスフレームワークは万能ではありません。もっとシンプルに伝えることができる方法も存在します。そのためには「論理の枠組みを考える」ことが重要です。細かい枝葉の情報を考えるのではなく、全体を大きな視点で見たときに、どの切り口で枠組みを捉えるのが良いか、を考える必要があります。

注意
今回の論理の枠組みのお話は「伝えるための技術」です。分析や問題解決のための手法ではありません。似ているけど決定的な違いがあります。

ダイレクト感とMECE感の両立

伝えるための「論理の枠組み」として重要なことは2つ。ダイレクト感とMECE感になります。

ダイレクト感
直感的に伝わる枠組みのこと
MECE感
モレがなくダブりがないと感じさせる枠組みのこと

この2つを両立した枠組みは聞き手に取ってわかりやすいものです。日本とアメリカという枠組みはダイレクト感はあります。一方でモレがないのかというと、それ以外の国は?という疑問がすぐにわきます。まだ改善の余地がありそうです。

あなたの考えをひとことで言うと何?

論理の枠組みを考えるコツとして、今伝えたいことを「最も短い言葉で伝えるとすると何か?」を考えてみることをお勧めします。自分の考えている言葉の修飾語を削ぎ落とし、最も伝えたいひとことにたどりつくと、そこに論理の枠組みが現れてきます。

ちなみにマサトくんは「アメリカと日本におけるクラフトビール市場・競合の比較」と言う言葉で表しました。

エレベータートーク

エレベータートークという言葉をご存知でしょうか?これはエレベーターに乗っている20-30秒の間に重要なことを伝える、ということです。マサトくんは「単純化すると・・・」と話をしています。エレベーターの間で的確にポイントを伝えるためには、単純化しないと伝わりません。伝え方が悪いとエレベーターを降りられなくなってしまいます。また会社の偉い人になるほど時間を取れませんので、エレベーターであったその時に自分の考えを伝えきる、と言うこともビジネスパーソンには必要になってきます。

枠組みを考える練習としても有効ですので、ぜひエレベーターの中で自分の話が終わるか確かめて見てください。

最後に

新しい枠組みを考えるということは大変なことなのですが、これこそが「考える」ということの本質ですので、ぜひダイレクト感とMECE感を両立した枠組みで何が言えるか考えて見てください。