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考え続けるとは「論理の枠組みを洗練する」こと

1日の生活の中で何も考えないということはありえないと思います。ビジネスパーソンもそうでない人も、誰もが日々何かを考えて生きています。これだけ小さい頃から考え続けているのですが、上司に何かを伝えると「もっと考えてこい」「この点の検討が足りない」などと怒られることが多々あります。

ビジネスパーソンがレベルアップするためには、考えるとは何かを学び、正しく考え続けられるようになる必要があります。

メインストーリー

枠組みを良いものにしよう

前回のストーリー
クラフトビールの市場分析資料を「アメリカと日本におけるクラフトビール市場・競合の比較」とまとめたマサト。ファイブ・フォース分析と比べて格段にシンプルになったと喜んでいたのだが、その資料を師匠に見せたところ・・・考えるとは「論理の枠組みを考える」こと

僕の分析に比べて、かなり分かりやすいです。師匠もそう思いますよね?

そうだね。ケンタくんのはファイブ・フォースで分析したものだね。これも良く出来ていると思うよ。

ありがとうございます。でもマサトさんのを見るとやっぱり自分の考えが浅かったなって思うんですよ。ただファイブ・フォースに情報を当てはめただけで、考えてなかったのかなって今更ながら思います。

確かにケンタ先輩のは難しいことを語っていて、分析しているって感じはすっごいするんです。でもマサト先輩のはシンプルにすっと理解できる、この違いは大きいと思います。

アイコくんはセンスがあるね。意外とこの違いを感じることができない人もいるんだ。論理の構造の何がダメなのか、どちらがよりシンプルか。こういったことを全く気にしない人もいるからね。

へへ。褒められちゃった。でも自分ではできる自信全くないです・・

そうだね。「わかるとできる」は大きく違うからね。話を戻すけど、ケンタくんのものとマサトくんのを比較して、他に何が言えるかわかるかな?

もう惨めになるから、やめてください・・

いや違う。マサトくんのものに比べて、ケンタくんのファイブ・フォースの方が決定的に良い点があるんだ。

えっ? そんなものあるんですか・・、何でしょうか?

思い出してごらん、ファイブ・フォースを使ったことによって何かを発見したはずだよ。

そんなものありましたっけ・・

うーーん。確か、何かの情報が足りないとか言ってたかも。

そう。まさにそれ。売り手と代替品についての記載がないということが分かったんだ。つまり現時点で不完全な情報しかつかんでいない。これはビジネスをする上で非常に重要な問題で、既存のビジネスフレームワークを使って分析することのメリットの一つでもある。

なるほど。僕は不十分な情報だけを構造化したということですね。
その通り。だから最初のフレームとしてファイブ・フォースで分析したことは意味があることなんだ。いきなり今ある情報だけから考えだすと狭い範囲で最適化しただけになってしまう。

よかった。そんなに変なアプローチではなかったんですね。
だけど不足している情報が分かった上で、マサトくんのように今ある情報で何を伝えられるかを考えることは忘れてはいけないよ。情報が足りないと言って、いつまでも何も考え始めない人になってはダメだ。何度も枠組みをブラッシュアップする気持ちが重要なんだよ。

師匠、僕の枠組みはアメリカと日本という軸を最初の階層に持ってきているのですが、その他の国のことは触れていません。まだ改善の余地がありますよね。

そうだね。マサトくんはピラミッドストラクチャの構造にしているんだよね。第一階層にアメリカと日本、第二階層が市場と競合だね。逆にしたらどうだろう?

ピラミッドストラクチャ(PS)
課題に対して伝えるべき結論を「分かりやすく」かつ「論理的」に導くためのツール。詳細は別途

そうすると、第一階層が3Cの自社が欠けた状態になりますね。
まだ途中だよ。次のステップでMECE感が出るように枠組みを少し変えるとこうなる。

みーかん?よく分かりませんが、ブラッシュアップしたことは分かります。
ミーシー感(笑)モレなくダブりがないような枠組みだよ。今回は「需要/供給」の枠組みがそれに当たる。より良い洗練された論理の枠組みを考え続けることが重要になる。決してぐるぐると同じことを思い悩むことを考え続けるとは言わないんだ。

これだと第一階層がスッキリしますね。
ピラミッドストラクチャを作るならなるべく上位の階層をMECE感があるようにした方が良い。少なくとも第一階層にMECE感がないと、わかる人にはすぐにモレを指摘されるよ。

解説

考え続けるコツ

考え続けるとは「論理の枠組みを洗練し続ける」ことです。これが実につらい作業なのです。いつでも気をぬくと考え続けることをやめたい誘惑に駆られます。それぐらい考え続けるとは大変なことなのです。

MEMO
洗練された枠組みとは「ダイレクト感」と「MECE感」を両立した枠組みのことです。複数の階層に渡りダイレクト感とMECE感を維持できると最高です。

でも、ご安心だくさい。そうは言ってもいくつかのコツはあります。まずは基本的な問いとして以下の3つを唱え続けることです。

考え続けるための3つの問い

  • True?(本当か?)
  • Why?(なぜ?)
  • So What?(で?)

この3つがもっともベーシックですが大切な問いです。いつも自分の考えについて「それは本当に事実なのか?」「なぜ、そう言えるのか?」「で、結局何が言いたいのか?」この3つを自問しましょう。

トヨタは「なぜなぜ」を5回言うなどと言われています。ですが「なぜ?」だけではなく「本当か?」「で?」も言い続けましょう!

わかるとできるの違い

ストーリーの中でも出てきました「わかるとできる」は大きく違います。思考系のスキルについては、出来上がったピラミッドストラクチャや構造化されたロジックツリーを見ると自分でも出来る気になります。実際、出来上がった最終形はシンプルだからです。

でも実際に自分でやって見ると難しさが分かります。ぜひトライしてみてください。どんなに複雑な問題も最後はシンプルになりますが、シンプルに構造を捉えるための労力は計り知れないのです。例えば以下の例題を考えて見るのはどうでしょうか?どんな枠組みで考えると良いと思いますか?

  1. 新年会に参加すべきか?
  2. 転職すべきか、今の職場にいるべきか?
  3. 最近の曲は売れているが、知ってる曲が少ないのはなぜ?

最後に

考え続ける作業は辛いものですが、出来上がった論理の構造はきっとシンプルで素晴らしいものになります。「枠組みを考え、洗練し続ける」ということに、日頃からチャレンジしてみてください。